小さく建てて豊かに暮らす~土間のある住まい~

庭と土間と心地よい居場所。
“家に居たい”二人が建てた、自然体の家
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ご結婚を機に「家賃を払い続けるのはもったいない」という思いから、マイホームづくりをスタートさせたM様。“家の中で全てが完結する”ような、快適で便利な暮らしを目指して工夫されたというお住まいについて伺いました。

──家づくりのきっかけを教えてください
「賃貸に払い続けるのはもったいない」という思いがベースにありました。それから、便利な住宅街に住むなら賃貸でいい、どうせ建てるなら自然に包まれた場所に、と考えて「夢のマイホーム」というよりは、「土地はこのくらい、建物はこのくらい」と現実的なところから逆算して考え始めました。湘南エリアの中でも海や川に近いと自然災害が怖かったので、土地は少し不便だとしても安全面を優先しました。

──この家を建てるにあたり、実現したかったのはどんなことでしょうか
私たちが希望したのは「家で完結する暮らし」です。二人とも引きこもりなので(笑)。休日は庭の手入れやバイクのメンテナンスをしたり、読書に没頭したり、穏やかに過ごす時間を描いていました。住んで1年経っていませんが、家が快適すぎて既に旅行に行きたいと思わなくなってしまいました。あとはランニングコストを抑えられる家にするのが目標でした。何十年も住む家なのでノーメンテナンスで住むのは難しいですが、費用は再表現にしたかったです。家を小さくしたのは電気代の節約になったり、間取りをシンプルにすることによって地震に強い建物になったり、メンテナンス不要や長寿命の設備や素材を選びました。


──お家作りのこだわりを教えてください。
設計では、直射日光より北側の安定した光を重視して、風の通りや眺めを優先しました。湘南特有の強い日差し対策として、屋根断熱を厚くしたり、小屋裏と床下をつなぐダクト換気も導入しています。
道路側は南向きで採光には有利だったんですが、外からの視線を気にせず過ごせる庭を、建物で囲うように配置したこともあり、「カーテンを閉め切る窓は不要」と割り切って、あえて窓を設けませんでした。夏をこの家で過ごしましたが家に帰って来て、あの独特な蒸し暑さを感じなかったんです!パッシブ設計と珪藻土の力を感じました。

素材も妥協せず、外壁は漆喰,、床には国産ひのきの無垢材、壁は珪藻土、造作キッチンにはラワン材などを採用しました。年月を重ねるほど味わいを増すものを選んでいます。

造作洗面はこだわりました。座って朝の準備をできて、椅子も通路の邪魔にならないように棚の奥行きもこだわっています。カウンターの上がごちゃごちゃしないように収納もしっかり作ってもらいました。
タイルもたくさんサンプルを用意してもらってお気に入りのものが見つかりました!
鉄骨の階段は出来るだけシンプルに。高所恐怖症なので本当はスカスカの階段ではない方が良かったのですが、リビングの開放感にも影響するのでこの形にしてもらいました。


──お気に入りポイントはありますか?
たくさんありすぎますが…土間と造作のキッチンです!キッチンは天板だけメーカーさんのものを使って、その他は大工さんに作っていただき造作だけどコストを抑えてもらいました。でも食洗器だけはミーレを採用。1番採用してよかった設備です!土間は私たちにとって、“もうひとつのリビング”です。大きな窓から庭の緑が取り込めて、外と内をゆるやかにつなぐ居場所になっていて、室内だけど外を感じられる空間です。植物の植え替えなど床を汚しやすい作業もできますし、キャンプ用品を置いておうちキャンプも楽しめます。リビングを小さくしてでも、どうしても取り入れたかった場所です。この玄関のお陰でリビングの圧迫感を感じません!
23坪と小さいお家ですが「居場所」をたくさん作ったのもポイントです!土間やヌック、書斎、露天風呂を感じられる浴室、小さいお気に入りスペースを詰め込みました♪

土間でくつろいだり、ダイニングで語らったり、庭を眺めたり、シーンごとに心地よい居場所となっています。
あと、仕事モードに切り替えられるように、靴を履いて書斎に行ける動線も作ってもらいました。
──最後に、メッセージなどありましたらお願いします。
私たちがテーマにしたのは「無理なく」ということ。自然体でいられる、この“引きこもりハウス”は、私たち二人にとって理想の居場所になりました。もちろん住宅ローンも無理のないように。笑
注文住宅は建物を大きくしがちだと思います。一生に一度の買い物ですもの。でも実際に体感すると居室は6帖でも十分広いです。設計士さんやコーディネーターさんにたくさんワガママを言って、素敵なお家を作ってください!











